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線路は続くよどこまでも♪
「トンネルの数、かぞえているの?」
車窓を食い入るように見つめる少年に呆れたのか、同じボックス席の女性から声が掛かる。初めての鉄道ひとり旅は中学1年の春。車窓に流れる景色、響くレールのリズム、古びた客車の匂い・・・鉄道での旅に魅せられた少年は、やがて今で云う「乗り鉄」にどっぷりハマっていくのです。
今回は京都伏見配送センターのYが、思い出深い家族との鉄道エピソードと、昨年のある出来事をお話ししましょう。
平成の初め頃の東海道新幹線には食堂車があり、どこか華やいだ雰囲気が漂っていてよく利用したものでした。父親になった私が、仕事に旅にと出掛けては鉄道の話ばかりしていると、その子供たちもいつしか鉄オタJr.になるのは必定かもしれません。食堂車のことを聞いた子供たちは、新幹線でご飯が食べたいと言い続け、その願いが叶えられたのは食堂車営業の最後の列車でした。
念願の食堂車メシに笑顔の子供たちと食事していると、何やらカメラを向けられてインタビュー。いい記念になるかななんて気楽に思っていたら、なんと翌日の全国紙の一面トップに写真が載ってしまいました。
初めての鉄道ひとり旅で、とりわけ感動したのが山陰海岸を行く列車からの車窓。その絶景をいつか家族に見せたくて旅行をプランニング。臨時列車の展望席を確保して、私は車で先回り。有名な餘部(あまるべ)鉄橋で待ち構えて撮影しました。この写真、列車の最前部を拡大すると、子供たちが写ってたりします!
先ほど渡った鉄橋の下で記念撮影。今ではこの鉄橋もコンクリート製に架け代わり、もうこの姿を見ることは出来ません。
鉄道は時刻表に掲載のもの以外にも、実はあったりします。その一つが富山県の黒部渓谷に沿って走るトロッコ列車。一般に乗れるのは宇奈月温泉から欅平(けやきだいら)までの区間ですが、さらに奥までレールは延びていて、ダムを点検する職員用の列車が走ります。そして抽選に当たった人だけが幻の黒部ダムへのルートを堪能できるのです。
岩盤の熱で掘削が困難を極め、小説の舞台にもなった灼熱のトンネルを、トロッコは窓を曇らせて進みます。
ほとんどがトンネルの中ですが、地上に出ると絶景が!仙人谷駅で降り、橋の上からダムを眺めます。
そして黒部ダムの愛称、くろよんのもとになった黒部川第四発電所を見学。写真ではその大きさが判り難いですが、高さ33m、奥行き117mの大ホールが黒部の岩盤をくり抜いた山中にあります。こんな設備もすべて鉄道あってこそと言えるかもしれません。
ときに家族を巻き込みながらも鉄道ひとり旅を続けに続け、ついに昨年、日本の鉄道すべてに乗車しました!
JRに私鉄、地方のローカル線に三セク鉄道、地下鉄からモノレール、ケ-ブルカーに至るまで完全制覇です。最後の地は、静岡県にある大井川鉄道の終点、井川駅。完乗するならこの駅と、ずいぶん前から決めていました。
大井川鉄道といえばSL。もちろん終着駅を目指すには、この列車は外せません。
途中の千頭駅でミニ列車に乗り換えて大井川を遡ります。実は日本で一番の急勾配を登る列車なのです。
絶景ポイントとして有名な奥大井湖上駅。奥大井恋錠駅とも言われ恋人たちの聖地にもなっています。
そしてついに井川駅に到着、ほんとうに嬉しさが爆発してます。鉄道ひとり旅を始めてほぼ50年、ここまで来るのに約2万7千キロもの鉄道に乗りました。今は家族に感謝、感謝です。
たまに、もう乗るところが無くなったね!?なんて言われます。でも違うんです。日本の鉄道は、季節ごとにいろんな車窓を鑑賞できる映画館のようなもの。もう一度行きたい、いえいえ何度でも見たい映画の鉄道線がいっぱいです。
そして歌にもあるじゃないですか!「線路は続くよどこまでも♪」